こんにちは! 横浜市旭区のつなぐ司法書士事務所、代表司法書士の塩谷 陽子(しおや ようこ)です。
この記事では遺言書作成や、遺言執行でお困りの方にお役立ちいただけるよう、「遺言執行者が相続人に通知すべき『相続財産』の調査」についてまとめました。
また、司法書士による遺言・相続に関する無料相談も随時行っておりますので、ぜひお役立てください。
執筆者 塩谷 陽子(しおや ようこ)
つなぐ司法書士事務所 代表司法書士
信託・相続・登記を専門とする、つなぐ司法書士事務所(所在地:横浜市旭区)の代表。大学卒業後、都内のコンサル会社で複数のプロジェクトを経験し、2016年に司法書士試験に合格。都内司法書士法人で不動産、相続、後見、企業法務などを多数経験し、2023年に独立。女性ならではの丁寧・親身な対応で多数の顧客から支持されている。
相続財産は「プラスの財産」だけではなく「マイナスの財産」も調べる
遺言執行人は、亡くなった方の財産(相続財産)を全て調査します。
相続財産は預貯金や現金、不動産などの「プラスの財産」のほか、借金などの「マイナスの財産」もあります。
これは遺言執行者として管理すべき財産の内容を把握して、次のステップの「財産目録」を作成するためでもありますが、相続税の検討などでも必要不可欠な調査ですので、漏れが無いように徹底した調査を行う必要があります。
それでは、財産の調査はどのように行えばいいのでしょうか? 以降のパートで詳しくご説明しましょう。
遺言書に明記された財産を調べる
まずは、遺言書に明記された財産について「現在もある財産なのか?」などといったことも含めて確認します。
不動産
最寄りの法務局で、最新の登記事項全部証明書(登記簿謄本)を取得すれば、現在の権利関係が確認できます。
「現在の名義人は誰なのか?」や「抵当権の設定は無いか?」などを確認することで、新たな債務が判明することがあります。
不動産が賃貸されている場合は、賃貸借契約書なども入手して、契約内容を確認しましょう。また、不動産の現地にも行って「土地や建物の保存状況」や、「誰が住んでいるのか?」なども確認することが必要です。
もし、全然関係の無い人が住んでいた場合などは、退去してもらうように請求するなどの措置が必要になります。
預貯金
預貯金については、通帳などを入手するとともに、金融機関で「残高証明書」を取得すると良いでしょう。
残高証明書を取得すると、違う支店に口座を持っていたり、貸金庫などが見つかったりします。
残高証明書を取得するための手続きは金融機関によって異なるため、それぞれの金融機関に確認しましょう。
有価証券・投資信託 その他金融資産
証券会社や信託銀行などの金融機関から送られてきた通知・報告書、その他の資料を入手して、保有残高などをそれぞれの金融機関に確認します。
もし、上場していない会社の株式を保有している場合は、発行している会社に直接確認が必要です。
自動車
車検証で、所有者や利用者を確認しましょう。
遺言書に記載されていない財産は?
遺言書が、相続財産のうち特定の財産に関する場合は、遺言執行者の義務はその財産のみについて存するので、原則として、その他の財産を調査する必要はありません。
一方「全財産を◯◯に相続させる」といった場合や、「その他一切の財産は◯◯に相続させる」といった内容の遺言書の場合は、できる限りの範囲で亡くなった方の財産が他に無いかを調査する必要があります。
例えば、亡くなった方に届いている固定資産税の通知や、市区町村役場で名寄帳を取得することにより、亡くなった方が所有している不動産が判明することがあります。
その他、亡くなった方のご自宅の郵送物などの確認や、貸金庫などがあれば開扉手続きを行い、内容を確認しましょう。
「遺言執行者の財産調査」のまとめ
遺言執行は、時間と手間がかかる複雑な手続きです。遺言執行者には相当な時間と専門的な知識が求められます。
もし、遺言執行に不安がある場合は、司法書士や弁護士などの専門家に相談されることをおすすめします。
遺言執行でお困りの際は、つなぐ司法書士事務所にご相談ください。