遺言書の検認とは? 目的と手続きの流れを司法書士が分かりやすく解説

遺言書の検認とは

遺言書の検認手続きは、故人が自筆証書遺言を残していた場合に必要となる、重要な手続きです。
(ただし、法務局の自筆証書遺言書保管制度を利用して保管されていた自筆証書遺言は、検認の手続きは不要ですので、ご注意ください)

この手続きは遺言書の存在や内容を確認し、偽造や変造を防止する目的で、家庭裁判所で行われます。

しかし、具体的な手続きの流れ費用について、不安を抱える方も多いのではないでしょうか? 今回は「遺言書の検認の目的と手続きの流れ」について、司法書士が分かりやすく解説します。

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執筆者 塩谷 陽子(しおや ようこ)
 つなぐ司法書士事務所 代表司法書士

信託・相続・登記を専門とする、つなぐ司法書士事務所(所在地:横浜市旭区)の代表。大学卒業後、都内のコンサル会社で複数のプロジェクトを経験し、2016年に司法書士試験に合格。都内司法書士法人で不動産、相続、後見、企業法務などを多数経験し、2023年に独立。女性ならではの丁寧・親身な対応で多数の顧客から支持されている。

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目次

そもそも「遺言書の検認」とは?

遺言書の検認は、家庭裁判所で行う手続きです。

法定相続人が家庭裁判所に集まり、家庭裁判所の手続きに従って遺言書を開封し、形式や内容を確認します。

その目的は、下記の3つがあります。

遺言書検認の目的

  1. 法定相続人の全員に、遺言書の存在や内容を知らせる
  2. 遺言書の形状や内容を明確にする
  3. 遺言書の偽造や変造を防ぐ

よく誤解が多い点として、この検認手続きにおいて遺言書の有効性や、遺言の内容について家庭裁判所が判断するものではありません。

あくまで「故人は遺言書を残していました」「遺言書はこういう内容でした」ということを形式的に確認するものです。遺言書の有効性や内容の解読などは、この検認では行いませんのでご注意ください。

また、検認を行わずに遺言書を開封すると偽造改ざんが疑われ、その後の手続き(不動産の名義変更、預貯金の解約など)ができなかったり5万円以下の過料が科せられたりする可能性があります。

故人が亡くなって、遺言書を発見した場合は開封せずに、検認手続きまでそのままの状態で保管しておくようにご注意ください。

検認手続きの流れ

1. 遺言書の発見

遺言書を見つけた場合、勝手に開封せず、そのままの状態で保管します。

2. 検認の申立てに必要な書類を集める

  • 遺言書の検認の申立書(裁判所の公式サイトからダウンロードする)
  • 被相続人の法定相続人を証する戸籍謄本など(被相続人の出生から死亡までの戸籍、相続人全員の戸籍謄本など)
    ※相続人によって集める戸籍の種類が変わりますので、裁判所の公式サイトでご確認ください。
  • 遺言書1通につき、収入印紙800円分および郵便切手
    ※郵便切手の枚数や金額等は、管轄の裁判所のホームページか、電話などでご確認ください。

3. 家庭裁判所への申立て

一人、申立人を決めます。申立人は遺言書の保管者や、遺言書を発見した相続人がなることができます。申立人は、検認当日に必ず家庭裁判所に訪問する必要があるので、訪問が可能な人を申立人とします。

ちなみに、申立人以外の相続人は、検認当日に裁判所に訪問することは必須ではありません。

申立人を決めたら、遺言者の最後の住所地を管轄する家庭裁判所に、検認の申立てを行います。

具体的には、必要書類(収入印紙を張り付けた申立書、戸籍謄本など)を家庭裁判所に提出します。郵送での提出も可能です。

4. 検認期日の通知

申立後、約2〜3週間後に家庭裁判所から相続人全員に対し、検認期日通知書が郵送されます。

検認期日通知書には裁判所に訪問する日や、持参する書類などが記載されていますので、しっかり確認しましょう。

5. 検認の実施

指定された期日に、指定された書類(遺言書の原本や検認期日通知書、申立人の認印など)を持って、家庭裁判所に行きます。

受付を済ませた後、申立人や出席した相続人などの立会いのもと、裁判官が遺言書を開封し、検認します。おおよそ15分程度で終わることが多いようです。

6. 検認済証明書の交付

検認後、遺言書には検認済証明書が付され、相続手続きに使用できるようになります。

遺言書の検認を司法書士に依頼した場合の報酬

遺言書の検認手続きはご自身で行うことも可能ですが、家庭裁判所とのやり取り専門的な知識が求められるため、司法書士に依頼する方も少なくありません。

司法書士に依頼した場合の報酬は、事務所によって異なりますが、一般的には以下のような費用がかかります。

  • 遺言書検認申立サポ―ト費用
    • 5万円~8万円
  • 依頼できること
    • 必要書類の収集、作成、申立手続き、検認当日の付き添いなど

これらはあくまで一例であり、具体的な費用は依頼する司法書士事務所や、案件の内容によって変動します。

遺言書の検認を司法書士に依頼するメリットとデメリット

メリット

  • 専門的なサポート
    • 手続きの煩雑さや必要書類の収集などを専門家にまかせることで、スムーズに進めることができます。
  • 安心感
    • 法律の専門家が対応するため、手続きのミスや漏れを防ぐことができます。
  • 遺言書の内容のアドバイスをしてもらえる
    • 遺言書の検認が終了したら、開封された遺言書の内容の有効性や解釈につき、相続実務の専門家である司法書士のアドバイスが受けられます。
      そのため「これから、どのような手続きが必要なのか」なども明確になりますので、今後の手続きも安心して進めることができます。

デメリット

  • 費用がかかる
    • 自分で手続きを行う場合に比べて、報酬が発生します。

まとめ

つなぐ司法書士事務所 代表司法書士 塩谷陽子

遺言書の検認手続きは、相続手続きの中でも重要なステップです。手続きの流れや必要な書類、費用などを事前に把握し、スムーズに進めることが大切です。

特に自筆証書遺言は、内容が不正確なことが多く、専門的な知識や実務経験が必要とされる場面も多いため、不安を感じる場合は司法書士に相談されることをおすすめします。

遺言書の検認に関するご相談や手続きのサポートは、つなぐ司法書士事務所でも承っております。どうぞ、お気軽にお問い合わせください。

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