【相続放棄】自分で手続きする方法。基本や注意点を司法書士が分かりやすく解説

誰でもわかる!相続放棄を自分でやる方法・手続について詳しく解説します。
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執筆者 塩谷 陽子(しおや ようこ)
 つなぐ司法書士事務所 代表司法書士

信託・相続・登記を専門とする、つなぐ司法書士事務所(所在地:横浜市旭区)の代表。大学卒業後、都内のコンサル会社で複数のプロジェクトを経験し、2016年に司法書士試験に合格。都内司法書士法人で不動産、相続、後見、企業法務などを多数経験し、2023年に独立。女性ならではの丁寧・親身な対応で多数の顧客から支持されている。

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相続放棄を初めてする場合、様々な不安がある方は多いのではないでしょうか。「期間制限もあるし手続きでミスはできない。」「こういう場合はできるの?」「申述書には何を書けばいいの?」など様々な不安をお持ちの方に、手続きの流れや注意点を解説していきます。
仕事が忙しい方や、ラクに済ませてしまいたいという方、ぜひこの記事を参考にしてみてください。

相続放棄の手続きをラクに済ませたいとお考えの方・・・・

相続放棄の手続きは、自分で用意する書類が多いうえに、家庭裁判所とのやり取りも発生するため、想像以上に大変な手続です。また、「遠方に住んでいた親族亡くなった場合の相続放棄」だったり、「相続人が兄弟の場合は、収集する戸籍の量が多くなり大変」だったり、「相続発生から3か月を超えている相続放棄」などの場合で、時間がない方、少しでも不安が残る方は、司法書士などの専門家に相談することをお勧めいたします。

<相続放棄を司法書士に依頼した場合のメリット>

  • 相続放棄の手続に必要な書類を、代わりに集めてもらえる
     →時間がない方でもラクに手続できる
  • 財産調査などをして、本当に相続放棄が適切かどうかアドバイスしてもらえる
     →相続放棄に不安が残る方は、一度ご相談ください
  • 司法書士に依頼すべきか、弁護士にいらいすべきか相談に乗ってもらえる
     →費用などのご不安についても、一度無料相談・見積でご相談ください。
目次

相続放棄の手続きの全体像

相続放棄手続きの全体像
STEP

亡くなった方の相続財産を調査して、相続放棄すべきかどうかを検討しましょう。

STEP

裁判所に提出するために必要な書類を収集・作成します。

STEP

相続放棄申述書、集めた書類などを家庭裁判所に提出します。
この提出の期限が、相続を知ってから3か月以内にされている必要があります。

STEP

家庭裁判所から送られてきた照会書(質問表)に必要事項を記載し、家庭裁判所に送り返します。

STEP

受理通知書が届いたら、相続放棄の手続きは完了です。

相続手続きの全体の流れは、上記の通りです。
相続放棄は期限が決められており、STEP4の家庭裁判所への申立手続(書類提出)を相続を知ってから3か月以内に行う必要があります。
それでは、それぞれ詳しくみていきましょう。

相続放棄の申出は、相続を知ってから3か月以内にする必要があります!
3か月を過ぎた場合は、あきらめずに相続放棄に強い司法書士・弁護士などの専門家に相談してください。

STEP1 相続放棄をすべきかどうかの検討

相続放棄は、一度行うと撤回できないため、慎重に検討しなければなりません。
相続放棄すべきかどうかの判断軸は、一度次の事項を調べてみてから判断すると良いでしょう。

自分が相続人かどうか

亡くなった方の戸籍謄本などを取得し、法定相続人の範囲を確認する。

亡くなった方の財産・借金などの調査
□不動産

名寄帳などを市区町村の役場で取得し、亡くなった方が所有している不動産を調べる。その後、法務局で登記事項証明書を取得し、念のため名義確認をする

□現金・預金・株券など

亡くなった方の住んでいた場所や、貸金庫などで見つかる場合が多い。

□借金

サラ金・カードローンの有無は請求書などで確認。地代や税金の滞納金はないかなど確認する。

相続財産の調査が多く、相続開始から3か月以内を越えてしまいそうな場合は、相続放棄の期限の延長手続というものがあります。

STEP2 必要書類の収集

相続放棄では、次の書類が必要となります。場合により、その他追加で必要な書類があります。

  • 相続放棄申述書
  • 亡くなった方の住民票除票または戸籍の附票
  • 申し立てる人の戸籍謄本
  • 亡くなった方との関係により、追加で提出が必要な書類

①相続放棄申述書

相続放棄申述書とは、相続放棄の手続をするという意思表示を裁判所に示すための書面です。
相続放棄する方が、成人しているか否かで様式が異なります。以下のリンクを参考に確認してください。

記入例を見ながら作成していけば、難しくはないと思います。ただ特殊なケースや、どうしてもわからない場合は申し立てを書類を提出する家庭裁判所に問い合わせてみると良いと思います。

②亡くなった方の住民票除票または戸籍の附票

相続放棄は、亡くなった方の死亡時の住所地を管轄する家庭裁判所に申し立てる必要があります。そのため、相続放棄を申し立てる場合は、その住所地を証明するために、亡くなった方の住民票の除票もしくは戸籍の附票を提出します。

なお、取得する書類はどちらでもいいのですが、戸籍との関連性を示すためにも、本籍地入りのものを取得するようにしてください。戸籍の附票も、申出をしないと本籍地が入らないため注意が必要です。

また、マイナンバーが記載された書類は、裁判所が受理してくれないため、必ずマイナンバーが記載されていない書類を取得するようにしましょう。

書類名発行してくれる場所取得費用注意点!!
住民票の除票住所地の市区町村役場300円程度・本籍地入りのものを取得すること!
・マイナンバーは記載しないこと!
戸籍の附票本籍地の市区町村役場300円程度・本籍地入りのものを取得すること

③相続放棄をする人の戸籍謄本

相続放棄をする場合、相続放棄をする人の戸籍謄本が必ず必要となります。
亡くなった人との相続関係性を示す必要があるためです。

書類名発行してくれる場所取得費用注意点!!
相続放棄をする人の
戸籍謄本
本籍地の市区町村役場450円・最新のものを取得すること
※被相続人の死亡日よりも後の日付で取得すること

④亡くなった方との関係により、追加で提出が必要な戸籍謄本

亡くなった人からみて、配偶者(妻・夫)が相続放棄をするケース

▶追加で準備する書類はありません。

亡くなった人からみて、子どもが相続放棄をするケース

▶亡くなった方の死亡の記載がある戸籍(除籍・改正原戸籍)謄本

※ただし、亡くなった方と相続放棄する方が同一の戸籍に入っている場合は、追加で準備する書類はありません。(亡くなった方の戸籍が、③の相続放棄する人(子供)の戸籍内に記載されているためです。)

亡くなった人からみて、が相続放棄をするケース

▶亡くなった方の死亡の記載がある戸籍(除籍・改正原戸籍)謄本

▶亡くなった方の子供(孫の親)の死亡の記載がある戸籍(除籍・改正原戸籍)謄本

※ただし、亡くなった方の子ども(孫の親)の戸籍と、相続放棄する方が同一の戸籍に入っている場合は、亡くなった方の子どもの戸籍は必要ありません。(亡くなった方の子どもの戸籍が、③の相続放棄する人(孫)の戸籍内に記載されているためです。)

亡くなった人からみて、親(父・母)が相続放棄をするケース

▶亡くなった方の出生時から死亡時までのすべての戸籍(除籍・改正原戸籍)謄本

▶亡くなった方に子ども(既に死亡)がいる場合は、その子どもの出生から死亡までのすべての戸籍(除籍・改正原戸籍)謄本

亡くなった方に子どもがいない、もしくはその子供が亡くなった方よりも先に死亡している場合は、亡くなった人の親が相続人となります。親が子供の相続放棄をするケースでは、亡くなった方に相続できる子供が存在しないことを証明する必要があります。そのため、子どもがいない事実を証明するために、亡くなった方の生まれてから死亡するまでのすべての戸籍が必要となるのです。

亡くなった人からみて、兄弟姉妹が相続放棄をするケース

▶亡くなった方の出生時から死亡時までのすべての戸籍(除籍・改正原戸籍)謄本

▶亡くなった方に子ども(既に死亡)がいる場合は、その子どもの出生から死亡までのすべての籍(除籍・改正原戸籍)謄本

▶亡くなった方の父母(既に死亡)の死亡の記載のある戸籍(除籍・改正原戸籍)謄本

▶亡くなった方の祖父母(既に死亡)が生存していてもおかしくない年齢の場合、死亡の記載のある戸籍(除籍・改正原戸籍)謄本

亡くなった方が子供もおらず、親・祖父母も既に亡くなっている場合は、兄弟姉妹が相続人となります。
この場合は、この事実を裁判所に証明するために上記の戸籍がすべて必要となります。
ただ、祖父母の死亡に関する戸籍については、提出しなくても亡くなっていることがわかる(現在で150歳など)場合は、提出しなくても良いとしている裁判所もあります。

亡くなった人からみて、甥・姪が相続放棄をするケース

▶亡くなった方の出生時から死亡時までのすべての戸籍(除籍・改正原戸籍)謄本

▶亡くなった方に子ども(既に死亡)がいる場合は、その子どもの出生から死亡までのすべての籍(除籍・改正原戸籍)謄本

▶亡くなった方の父母(既に死亡)の死亡の記載のある戸籍(除籍・改正原戸籍)謄本

▶亡くなった方の祖父母(既に死亡)が生存していてもおかしくない年齢の場合、死亡の記載のある戸籍(除籍・改正原戸籍)謄本

▶亡くなった方の兄弟姉妹(相続放棄をする人から見て親)の死亡の記載がある戸籍(除籍・改正原戸籍)謄本

亡くなった方が子供もおらず、親・祖父母も既に亡くなっていて、かつ兄弟姉妹も亡くなっている場合は、兄弟姉妹の子供(甥・姪)が相続人となります。
亡くなった方の甥・姪が相続放棄をする場合は、兄弟姉妹が相続人になった時の書類に加えて、兄弟姉妹(姪・甥の親)が死亡していることを証明する戸籍が必要となります。

戸籍の種類について

戸籍には大きく3つの種類があります。

書類名発行してくれる場所取得費用内容
現在戸籍
(戸籍謄本)
本籍地の市区町村役場450円今現在、その戸籍に在籍している人がいて、有効な戸籍のこと。
除籍本籍地の市区町村役場750円すべての人が除籍(死亡・離婚・結婚)して、誰もいなくなり、閉鎖された戸籍のこと
改正原戸籍本籍地の市区町村役場750円戸籍の形式変更などにより改製(バージョンアップ)される前までに使われていた戸籍のこと。改製された場合、その時点で戸籍に在籍している人の情報だけが、改製後の戸籍に記載されるため、改製前の戸籍を求められることがある。

戸籍謄本等は、本籍地の市区町村町の窓口で取得するのが一般的ですが、遠方の場合は郵送で取り寄せることもできます。ただし、郵送で取り寄せる場合は、数日間必要となるため注意が必要です。

以上のように、相続放棄する人が兄弟姉妹や、甥・姪となると、取得しなければならない戸籍も多く大変です。
自力で書類収集するのが大変な方は、司法書士に依頼することをお勧めします。

相続放棄の事情により、上申書の提出も必要となる

上申書とは、通常では受理されないケースに相続放棄を申し出る場合、「どうして今相続放棄を申し出るのか?」を裁判官に説明し、なんとか相続放棄の申出を受理してもらうための書類です。

たとえば、被相続人が死亡してから3か月が経過している場合などに相続放棄を申し出る場合などです。

過去に、形式的には相続放棄できないけれども、「相続財産がまったくないと信じたことにつき相当の理由があって、3か月を過ぎてから負債の存在を知った」ケースなどで、3か月を過ぎた後での相続放棄を認めた判例があります。

こういったケースなどで、裁判官に相続放棄に至った背景や、事情などを裁判官に納得してもらえるように文章に落とし込んだ書類が上申書になり、相続放棄ができるかどうかを左右するとても重要な書類となってきます。

上申書を提出する場合は、イレギュラーなケースです。相続放棄のチャンスは一度。(一旦不受理とされた場合は、即時抗告もできますが、判断を覆す理由を用意しなければならないため、あまり期待はできません。)専門家に相談するようにしましょう。

STEP3 家庭裁判所へに相続放棄を申し立てる(書類の提出)

必要書類をすべて準備できたら、いよいよ家庭裁判所へ相続放棄を申し立てます。この申し立ては、原則相続を知ってから3か月以内に行う必要があるので、注意してください。

誰が、相続放棄の申出をするのか?

相続放棄は、相続放棄をしたい本人が申し立てます。ただし、本人が未成年の場合はその親が法定代理人として申し立てます。しかし、親も相続人の場合は利益相反に該当するケースがあるため、専門家に相談しましょう。

相続放棄の申立先

相続放棄の申立先は、亡くなった方の最後の住所地を管轄する家庭裁判所です。

▶家庭裁判所の管轄はコチラ

申し立ての方法

家庭裁判所に直接持参する方法か、郵送する方法があります。
郵送する場合は、きちんと到着したことを確認するためにレターパックなど書留がある封筒を用いると良いでしょう。

郵送する場合の注意点として、郵送には必ず到着するまでに時間がかかるため、到着する前に3か月を過ぎてしまうこともあります。郵送する場合は、十分余裕を持ったスケジュールで対応しましょう。

申し立てにかかる費用

申立ての際にかかる費用は、次のとおりです。

  • 収入印紙800円(相続放棄する人1人につき)
  • 連絡用の郵便切手
    →いくら分の郵便切手が必要かは裁判所によって異なるため、各裁判所に確認します。

STEP4 照会書への回答

家庭裁判所に相続放棄を申し立ててから約10日前後で、相続放棄を申し立てた人に「照会書」が送付されます。

この照会書は、「本当に本人の意思で相続放棄を行っているのか?」「相続放棄を却下すべき明確な理由はないか?」などを調査するために行われるものです。
必ず、回答書を記入して、裁判所に提出するようにしましょう。

STEP5 相続放棄申述受理通知書の到着

相続登記が認められれば、裁判所から相続放棄申述受理通知書が到着し、これにより家庭裁判所に正式に相続放棄が認められたことになります。これで相続放棄手続は完了します。

おわりに

本記事で解説した順序で手続きを進めていけば、相続放棄の申し立てができます。

ただ、取得する戸籍の数などが多く、市区町村に昼間に行けないという方、忙しくて手が回らないという方、戸籍の読み方が難しいという方司法書士に依頼することもできます。

専門家に依頼すれば、相続放棄の注意点も踏まえた上で、必要書類の収集や債権者への連絡もサポートできます。

どうぞ、お気軽にお問合せください。

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そして少しでもご安心いただけるようお客様のご事情に一番最適なアドバイスをさせていただきます。

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