遺言執行とは? 誰に相談すればいい? 司法書士が分かりやすく解説

遺言執行とは? 誰に相談すればいい?
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こんにちは! 横浜市旭区のつなぐ司法書士事務所、代表司法書士の塩谷 陽子(しおや ようこ)です。

この記事では、遺言執行でお困りの方にお役立ちいただけるよう、遺言執行の流れや期限、報酬の目安などをまとめました。

また、司法書士による遺言・相続に関する無料相談も随時行っておりますので、ぜひお役立てください。

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執筆者 塩谷 陽子(しおや ようこ)
 つなぐ司法書士事務所 代表司法書士

信託・相続・登記を専門とする、つなぐ司法書士事務所(所在地:横浜市旭区)の代表。大学卒業後、都内のコンサル会社で複数のプロジェクトを経験し、2016年に司法書士試験に合格。都内司法書士法人で不動産、相続、後見、企業法務などを多数経験し、2023年に独立。女性ならではの丁寧・親身な対応で多数の顧客から支持されている。

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目次

そもそも「遺言執行」「遺言執行者」とは?

遺言書

遺言執行者とは「遺言書の内容を実現させるための一切の行為を行う人」のことを言います。

民法では遺言執行者について、以下のように規定されています。

民法第1012条(遺言執行者の権利義務)
遺言執行者は、遺言の内容を実現するため、相続財産の管理その他遺言の執行に必要な一切の行為をする権利義務を有する。

遺言書は、遺言者の死亡によってその効力を生じる(民985Ⅰ)ことから、亡くなった遺言者は遺言の内容を実現できません。そのため、せっかく遺言書を書いても、その通りに財産が承継されないこともあります。

「自分が遺言書に書いた通りに、財産を分配してほしい…」
そんな思いを叶えてくれるのが「遺言執行者」という制度です。

遺言執行者は、生前に遺言書で信頼できる人を遺言執行者として選任しておき、その人に自分が遺言で書いたことを実現してもらえるよう頼んでおくのが一般的です。

遺言執行者が遺言書で選任されていない場合は、原則、遺言の執行は相続人で行います。しかし、相続人が家庭裁判所に申し立てをすれば、遺言執行者を選任してもらうこともできます。

「遺言書によって遺産相続しなければならないが、相続人の間で意見の相違がある」
「仕事があって対応が大変、法律のことはよく分からない」
…という方は、遺言執行者の申立てをご検討ください。

遺言執行者になれる人

遺言執行者未成年と破産者でない限り、誰でもなることができます。

遺言執行者と相続させたい人が同一の人物でも問題ありません。複数人でも、法人でもなることができます。

ただし、相続人の中から指定すると、他の相続人の反発や利害関係が絡むことが多く、できるだけ第三者的な立場にある人(司法書士など)を選任することが、手続きをスムーズに進めるポイントです。

遺言執行の流れ

遺言執行の流れは、以下の通りです。

1:遺言執行者に就任するかどうかを決める

遺言執行者に指定された人は「就任を承諾するか、拒否するか」自由に選択できます。

ただし、一度承諾・拒否した後に撤回することは原則認められないため、慎重に判断する必要があります。

就任承諾後に辞任したい場合

就任を承諾して、辞任する場合正当な事由があるときに限り、家庭裁判所の許可を得ることが必要とされます。

遺言執行者の権限はとても強力であり、相続人全員に影響をもたらすため、遺言執行者を辞任したい場合は、書面により相続人全員に対して行うことが望ましいです。

内容としては、相続人全員宛であること、日付や辞退する旨を簡潔に記載する文書でも良いので、きちんと書面に残しておくことをお勧めします。

就任を承諾した方は、次のステップに進みます。

2:相続人へ通知する

遺言執行者に就任し、その任務を開始したら、遅滞なく相続人全員に遺言の内容を通知することが、民法で義務付けられています。

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3:相続財産の調査

亡くなった方の財産(相続財産)全て調査します。

財産は預貯金や不動産、車、貴金属などプラスの財産だけでなく、借金や負債などのマイナスの財産も含めて調査する必要があります。

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4:財産目録の作成・交付

相続財産の調査が完了したら、遅滞なく「相続財産目録」を作成し、相続人全員に交付します。

財産目録には不動産、預貯金、株式・投資信託、自動車、負債などの内容を記載します。

5:遺言の執行

ステップ1~4は遺言執行のための準備期間で、ここからいよいよ遺言の執行を行います。

遺言の執行は財産の内容により手続きが変わりますが、今回は代表的な「預貯金口座の解約」「不動産の名義変更」についてご紹介します。

預貯金口座の解約

戸籍謄本等の必要書類が揃ったら各金融機関に連絡して、口座解約手続きに関する資料を取り寄せます。

金融機関により必要な資料などが異なりますので、それぞれ確認し、手続きを進めることとなります。

多くの場合、普通預金は解約し、解約金を相続人名義の口座に振り込む手続きとなります。

※定期預金の場合は名義を変更して、満期まで継続させることができます。

不動産の名義変更

相続財産に土地建物などの不動産がある場合、相続した人に名義を変更する必要があります。

一般的に「相続登記」と呼ぶことが多く、これは令和6年(2024年)4月1日から義務化され、相続登記をしない場合は過料(罰金)の制裁もあることから、必ず行いましょう。

相続登記の手続きは、不動産を管轄する法務局で行います。

法務局への提出書類などは専門的な知識を要するため、登記の専門家である司法書士に任せることをお勧めします。

6:業務の終了報告

全ての遺言執行手続きが完了したら、相続人全員に対して、書面でその旨を通知します。

書面で通知しないと、任務の終了を主張できないので、必ず行いましょう。

3. 遺言執行の期限

これまでご紹介したように、遺言執行者は多大な労力と時間をかけて遂行することが求められます。

それでは、遺言執行はいつまでに完了させればいいのでしょうか?

結論としては、特に定められた期限はありません。しかし、通常の「相続手続きの期限」に間に合うように進める必要があります。

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4. 遺言執行者の報酬の目安

遺言執行者は遺言書の定め、または家庭裁判所の決定に従って報酬を受けることができます。

報酬の相場相続する財産や手続きの多さ遺言執行者を依頼する人によって変わります。

  • 一般の人(相続人など):無償もしくは低額(20万円~30万円程度)
  • 弁護士30万円~100万円前後
  • 司法書士30万円~80万円前後
  • 金融機関30万円~300万円前後

報酬は誰が払うの?

遺言執行者の報酬原則、遺言の執行に関する費用として相続財産の中から支払われます。

実務上では、遺言執行者が相続人に対して相続財産を移転する時に、報酬を差し引くのが一般的です。

他には、遺言執行が完了した後、各相続人に対して相続分に応じた報酬を請求する方法もあります。

5. 司法書士が遺言執行者になることのメリット・デメリット

メリット1. 相続手続の負担から解放される

相続手続きは簡単に考えられがちではありますが、これまでご紹介した通り、想像以上の時間と手間がかかります。

特に金融機関や役所関係での手続きが多いため、平日の日中に動く必要があります。このため仕事を休んで対応しなければならないなど、相続人の方に多大な負担がかかります。

また、相続手続きは専門的な知識を幅広く必要とされるため、その知識の吸収にも時間がかかります。

その点、司法書士は相続手続きをはじめとする法律の専門家であり、相続を専門としている司法書士に依頼すれば、期限などがある手続きでもスムーズに行うことができ、相続人の負担も大幅に軽減されます。

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メリット2. 不動産の相続手続きをスムーズに進められる

司法書士は、不動産の名義変更にかかる手続きのスペシャリストでもあります。

相続財産に不動産がある場合は、司法書士に依頼されることをおすすめします。

メリット3. 遺言執行者の報酬が比較的安価に抑えられる

4. 遺言執行者の報酬の目安」でご紹介した通り、他の士業や金融機関よりも比較的に安価な報酬で依頼することができます。

メリット4. トラブルの防止

相続人が遺言執行者となった場合相続人間のトラブルが発生する可能性があります。

例えば「遺言執行者が相続財産を隠しているのでは?」と疑われたり、他の相続人から「手続きが遅い!」などと不満をぶつけられたりなど、理由はさまざまです。

このようなトラブルが発生すると、遺言執行者に多大な精神的負担がかかります。

この点、第三者である司法書士を遺言執行者にすることで、このような負担から解放されます。

デメリット1. 司法書士への報酬が必要

「4. 遺言執行者の報酬の目安」でご紹介した通り、相続人が遺言執行者の場合は報酬を無償にできますが、司法書士に依頼する場合は30万円~80万円前後の報酬が必要です。

デメリット2. 良い専門家にあたるとは限らない

一言で「司法書士」といってもいろいろな専門分野があり、いろいろな人がいます。また、人によって相性も異なります。

相続手続きは相続人全員に対してさまざまなコミュニケーションを取ることが求められるため、常識的な対応をとれる人を選任しておく必要があります。

よって、遺言執行者を選ぶ際は「相続の専門家であること」などの実績の確認はもちろんのこと、人柄などもきちんと確認してから選任することをお勧めします。

デメリット3. トラブルがある場合は対応できないことも

司法書士は、相続人間でトラブルがある場合などは対応できないことがあります。

そのため、遺言の内容や有効性などを疑う場合など、トラブルが予想される場合は、紛争解決を専門とする弁護士に依頼するのが得策です。

まとめ

遺言執行は、時間と手間がかかる複雑な手続きです。

そのため、遺言執行者に就任する前に、しっかりと役割と責任を理解することが重要です。

もし、遺言執行に不安がある場合は、司法書士や弁護士などの専門家に相談されることをおすすめします。

遺言執行でお困りの際は、つなぐ司法書士事務所にご相談ください。

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